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清内路水力発電所新設工事(中部電力株式会社)
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【写真1】大平黒川えん堤

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【写真2】ドリルジャンボ( 1 ブームドリフタ150kg級,55kW/400V)

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【写真3】トンネル内施工状況

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【写真4】トンネル完成状況

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【写真5】小黒川えん堤完成状況

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【写真6】水槽躯体完成状況

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【写真7】水圧管路施工状況

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【写真8】立坑施工状況

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【写真9】立坑完成状況

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【写真10】発電所ヤード完成状況

概要・諸元 1.はじめに
 中部電力グループは,「脱炭素化」への挑戦として,「再生可能エネルギーを2030年頃に320万kW以上拡大」との目標を掲げています。
 今回の清内路水力発電所の新設工事は,長野県南部の摺古木山(すりこぎやま)付近を源とする天竜川水系阿智川の支流となる黒川と丌岳(はげだけ)付近を源とする小黒川に,新たに発電所を建設するものです。
飯田市の黒川に大平黒川えん堤を構築し最大2.05m3/sを取水し,途中阿智村清内路地区の小黒川に小黒川えん堤を構築し最大0.45 m3/sを注水したのち,合計約5.1kmの導水路トンネル,水槽,約900mの水圧管路を経て有効落差273.12mにより,最大出力5,600kWを発電する流れ込み式(水路式)発電所です。当社の流れ込み式の新設水力発電所としては,1996年に運転開始した平谷水力発電所以来約20年ぶりの建設となります。
 図−1に発電所位置図,表−1に発電所の諸元を示します。


水系・河川名天竜川水系・黒川、小黒川
発電方式流れ込み式(水路式)
最大使用水量2.50m3/s
有効落差273.12m
最大出力5,600kW
水車横軸ペルトン水車
年間想定発電量約2,900万kWh
CO2削減量年間13,000t程度
運転開始予定2023年12月
表1 発電所諸元

2.工事概要
(1)大平黒川えん堤・小黒川えん堤 
 大平黒川えん堤は,高さ6.5m,越流長19.0m,堤敷幅18.0mの直線重力式越流型のコンクリートえん堤です。基岩部はホルンフェルスおよび伊奈川花崗岩が露呈し岩着構造としています。
 小黒川えん堤は,高さ4.2m,越流長6.5m,堤敷幅15.2mの直線重力式越流型コンクリートえん堤であり後方取水型とすることにより,えん堤排砂門上流側の排砂路を沈砂池として兼用する構造としています。
(2)導水路トンネル
 トンネル断面は最大使用水量が2.50m3/sと少ないことから,使用水量ではなく施工可能な最小断面から決定しました。調査によりトンネル全域で硬質な花崗岩が確認されたことから,掘削はNATMとし,小断面で延長が長いことからレール方式を採用しました。トンネル内面は坑口部を除き,コンクリート吹付仕上げとし,岩級によって支保パターンを定めています。トンネル坑口部は土かぶりも小さく地山強度が期待できないことから,コンクリート吹付(一次吹き)後に巻立コンクリートを施工しました。
(3)水圧管路
 水圧管路の総延長約900mのうち,明り部が約700m,埋設部が約200mとなっています。
 管径については,損失電力量と工事費の増減について経済性検討を行った結果,内径1.1mが最適となりました。水圧管路は尾根上に掘削して布設することとし,直線部の施工はFRP(M)管,線形が変わる固定台ではSM管を採用しました。また,水圧が高くなる下部付近もSM管を採用しました。掘削残土の削減等を図るため,水圧管路はすべて土中埋設としています。
(4)発電所
 発電所は半地下式の構造で,水車発電機は地上から約30m下部に設置する計画とし,発電所立坑部の掘削径はφ14.0mとしました。
 発電所の断面についてはボーリング結果から,地表から7m以深ではCH級からB級の岩盤が確認されていましたが,掘削中に破砕帯や弱層部が確認された場合に,ロックボルトだけの支保構造では施工に苦慮する可能性が考えられたため,応力的に安定となる円形としました。
【写真1 大平黒川えん堤】 2022.8  大平黒川えん堤右岸構築中の状況です。河川流量が多いことから半川締切方式を採用し,えん堤を構築しています。写真中央上部にあるキュービクルはえん堤の機械類へ電力を供給するための設備で,導水路内に水中ケーブルを布設して小黒川えん堤側から電力を供給することとしています。
【写真2 ドリルジャンボ】 2018.12  トンネル削岩用の1ブームドリフタジャンボです。トンネル断面が小さいため,作業効率を考慮し1ブームとしました。この他,シャフローダとシャトルカーからなるズリ出し編成,吹付ロボットと材料運搬車両からなるコンクリート吹付編成,ポンプ車とアジテータ車からなる底板コンクリート打設編成があり,それぞれ工程に応じて入替えし作業を行いました。
【写真3 トンネル施工状況】 2019.2  トンネル内の仮設状況です。主な仮設構造物は風管(φ500),高圧線,低圧線,給気管,給排水管,レールです。トンネル重機入替のための離合箇所(延長約50m)は約1,000mごとに,仮設水槽や仮設電源のための拡幅箇所(延長約20m)は約300mごとに,約100mごとに点火用の避難箇所を設けました。
【写真4 トンネル完成状況】 2022.12  トンネル内面は粗度向上のため底部をコンクリート打設(厚さ150mm)とし側面およびアーチは吹付仕上げとしています。水路勾配は大平黒川えん堤から小黒川えん堤間を1/1,000,小黒川えん堤から水槽までを1/2,000としています。
【写真5 小黒川えん堤完成状況】 2022.6  小黒川えん堤にアーム式の除塵機を設けました。また,導水路敷と河川敷の高低差が小さいこともあり,洪水時における導水路内への土砂流入を防ぐために導水路制水門を設置しました。
【写真6 水槽躯体完成状況】 2021.8  水槽の施工は,斜面途中に中継ポンプを設置し高低差約255mを下部から圧送してコンクリート打設を行いました。スランプをJIS規格の最大値である21cm,最大粗骨材寸法を25mmとして施工性を確保しました。
【写真7 水圧管路施工状況】 2021.9  水圧管路の施工は,水圧管路の線形上索道の設置が不可能だったため,大型モノレール(3t)を設置し,複数の車両編成を用いて土砂・資材運搬を行いました。
【写真8 立坑施工状況】 2020.10  立坑はロックボルトの施工を行いつつ底面まで掘削し,その後壁面の躯体を構築しました。躯体構築には専用の鋼製型枠を用いてクサビ緊結式を併用し1リフト3~5m毎にコンクリートを打設しました。
【写真9 立坑完成状況  2021.12  発電所立坑は,水車型式に横軸ペルトンを採用したことにより,機器分解時の軸方向の空間が必要なことから拡底を行いました。また,機器類の制御盤を設置するスペースも拡底により確保しました。
【写真10 立坑完成状況◆ 2022.4  主要機器類は立坑に設置し,上部ヤードには橋形クレーン,変電設備および配電盤室を設けています。発電機器からの排熱は,立坑上部に設けた階段室の壁面を利用して排熱することとしました。