会誌「電力土木」

目次へ戻る

でんたん

第47回 白水滝発電所(九州電力株式会社)

 

白水滝発電所がある球磨川は,日本三大急流の一つとして知られており,その源を熊本県球磨郡銚子笠(標高1,489 m)に発し,川辺川等の支川を合わせつつ県南部の人吉盆地を貫流し,八代平野に至り九州西岸の八代海に注ぐ延長115 km の一級河川です。
 当発電所は,球磨川水系の最上流部,熊本県球磨郡水上村(人吉市の北東約30 km)に位置し,大正15年 9 月に運転を開始した水路式発電所です。標高770 m を超える急峻な流域(約11 km2)から,3 箇所の取水堰で1.20 m3/s の水を集め,延長約850 m の水圧管路により有効落差421 m(当社一般水力最高落差)を利用することで,最大出力4,100 kW を発電しています。
 また,発電所上流約 1 km には,当社の古屋敷発電所(出力10,000 kW),下流約 3 km には田迎発電所(出力4,700 kW)があります。
 建設当初の発電所は,貯留機能を有した白水滝ダム(堤高23.30 m)により,ローカル的系統として冬季の補給電力確保のために重要な役割を担っていました。その後,系統が全九州に広がったことから,昭和47年にダムは切欠きが実施され,貯水機能を廃止するとともに砂防ダム機能を持たせた副堰(堤高12.20 m)に生まれ変わっています。なお,当時はダム有効容量136,126 m3,最大取水量0.557 m3/s であることから,出力2,000 kW で約68時間の電力補給能力があったと推察されます。
 この発電所が位置する水上村は,TV 番組「ポツンと一軒家」で一軒家の宝庫として有名となり,取水堰下流にある雄滝・雌滝の夫婦滝に架かる吊橋が紹介されたことで人気スポットとなっています。特に県内最長を誇る吊橋である白龍王橋と足元が透けて見える白龍妃橋には,紅葉シーズンになると多くの観光客が訪れ賑わいを見せています。
 また,当発電所下流にある市房ダム湖は,周囲13 km にわたり桜が咲き誇り「1 万本桜」と呼ばれ,県有数の桜の名所になっています。周回道路に隣接した道の駅には,多くの地元特産品などが取り揃えられておりますので,自然豊かな水上村にお越しの際はぜひお立ち寄りください。

ホームページ上では、「初回段落」のみを掲載しております。

     
     
ページのトップへ