会誌「電力土木」

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講座

再生可能エネルギーの動向と課題 第 7 回 風力発電および太陽光発電の環境アセスメント

 

竹 内  亨 (一財)電力中央研究所 サステナブルシステム研究本部 生物・環境化学研究部門 上席研究員

1. はじめに
 2050年カーボンニュートラルの実現を目指し,我が国におけるエネルギー開発を取り巻く環境は大きく変化している。パリ協定を受けて,2030年までに温室効果ガス46%削減,さらに50%の高みを目指すことを宣言し,2050年までのカーボンニュートラルの法定化を含んだ改正地球温暖化対策推進法(以降,改正温対法)が成立,さらに2030年までに脱炭素先行地域100カ所以上の創出を目指す地域脱炭素ロードマップが示された1)。風力発電および太陽光発電の導入量拡大は,ここ10年,FIT 制度を背景に,それぞれ約1.6倍,9.9倍と進められてきたが(2020年 3 月時点),今後は,脱炭素化戦略にもとづく法制度による後押しを受けて,国民全体の取り組みとして位置づけられた。
 再生可能エネルギーの急速な導入拡大に伴い,環境影響に係る問題も生じてきた。風力発電では,風車騒音・振動による近隣住民への影響や,風車へ希少鳥類が衝突するバードストライクが代表的な例としてあげられる。太陽光発電では,林地でのメガソーラー開発による大規模な森林伐採や土砂災害が複数の地域で発生した。環境アセスメントは,こうした影響のリスクを事前に把握し,環境融和型のエネルギー開発を実現するため,極めて重要な役割を担う。
 環境アセスメントが再生可能エネルギーの地域への円滑な導入に欠かせない制度である一方,導入促進の足かせとならないよう配慮すべきとの要望も強い。特に風力発電は,国による環境影響評価法(以降,法アセス)の実施件数が突出しており,他事業と比べ公平でない等の観点から制度の見直しも行われている。
 本稿では,風力発電および太陽光発電の環境アセスメントに係る基本的な内容や最近の動向を中心に,ポイントを取りまとめた。

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