会誌「電力土木」

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でんたん

第43回 「半世紀以上の時を経て」奥只見ダム・発電所(電源開発株式会社)

 

 奥只見ダム・発電所は,尾瀬沼を源流として福島・新潟県を通り日本海へ注ぐ阿賀野川の支流である只見川の最上流部に位置し,戦後の急速な復興による電力不足に対応するため,首都圏の重要な電源として建設されました。
 奥只見地域は日本有数の豪雪地帯であり,ダムの建設工事は,最初に山間部の資材運搬用道路「奥只見シルバーライン」の建設より着手,全長22 km のうち約18 km がトンネルのため開通に約 3 年を要し,その後約 4 年の歳月をかけ,1961年にダムが竣工しました。
 総貯水量は約 6 億 m3 で,人造湖としては国内第 2 位の大きさを有します。その後2003年,首都圏の電力需要増を受け発電機を 3 台から 4 台へ増設。合計出力は56万 kW となり,一般水力発電所としても日本最大の出力を誇ります。
 建設後「奥只見シルバーライン」は,奥只見方面に続く県道として,現在は,尾瀬・奥只見への観光道路として一般利用されています。
 只見川の水をダムで堰き止めてできた奥只見湖は,まさに秘境にできた湖というに相応しく,完成から半世紀以上の時を経て,ますます自然との調和が深まり,素晴らしい景色を見せてくれます。春から秋にかけ運行される遊覧船に乗れば,春は残雪と新緑,秋は見事な紅葉を見ることができます。ダムに隣接する奥只見丸山スキー場は初滑りと春スキーの名所として GW 過ぎまで楽しめ,県内はもちろん関東方面からのスキーヤー・スノーボーダーで賑わっています。
 ダム発着の遊覧船で絶景を堪能した後は,電力館にて建設当時の記録映像や,ダムの地下に有る発電所見学も楽しめます。ダム下流駐車場のレストハウスでは,魚沼産コシヒカリを使ったダムカレーで小腹を満たし,夜は麓の温泉宿で一泊。春は山菜料理,秋はきのこ,岩魚の塩焼きや美味しい新潟名物のへぎ蕎麦を食べながら地酒の日本酒を楽しむのは如何でしょうか。



【奥只見ダム】
福島県檜枝岐村・新潟県魚沼市
阿賀野川水系只見川
直線重力式コンクリートダム
堤 高 157 m 堤頂長 480 m
総貯水容量 601,000,000 m3


【奥只見発電所】
福島県檜枝岐村
発電方式 地下ダム水路式
最大許可出力 560,000 kW
最大使用水量 387 m3/s
有効落差 164.2〜170.0 m


【アクセス】
JR 上越新幹線浦佐駅から国道352号及びシルバーラインをバスで約75分※
関越自動車道小出 I.C から国道352号及びシルバーラインを車で約60分
※夏季〜秋期期間運航


【写真】
1. 残雪と新緑の奥只見湖
2. 建設中の奥只見ダム
3. 奥只見シルバーライン
4. 紅葉の中を行く遊覧船ファンタジア号
5. 奥只見電力館
6. 発電所(見学受付は電力館まで)
7. 奥只見ダムカレー

     
     
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