1. 事例と特徴
1.1 井の面発電所 ―地下岩窟内に発電機を収納したセミ地下式発電所―
本格的な地下発電所の建設は,昭和12年(1937年)に着工し,昭和18年(1943年)に完成した雨竜発電所に端を発するが,その始まりは大正10年(1921年)に運転開始の井の面発電所(300 kW,中部電力)にまで遡ることができる。本発電所は,一部を地下に格納した地下式の前身とも言えるセミ地下式発電所であり,地下の岩窟を利用しその中に発電機等を設置している(図―1)。発電所を岩窟内に設置したのは,地形的に建物を作る余地がなく,さらに小容量発電所であることも起因し,建物を作るよりも工事費が安価でであったことが挙げられる。
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