会誌「電力土木」

目次へ戻る

海外調査事業報告

欧州における揚水発電開発と放射性廃棄物地層処分に関する技術動向調査 ―第42回電力土木技術海外調査事業報告(その 2)―

 

大石 富彦

?環境総合テクノス 代表取締役社長

1. 訪問先(スイス)の電力事情
 1.1 エネルギー政策1)2)
 スイスは化石燃料が乏しく,全量輸入に依存している。しかし,豊富な水力資源,原子力,バイオ燃料によって,一次エネルギーの約半分,また発電の90%以上が国産エネルギーによって賄われている。
 スイスのエネルギー政策については,連邦憲法の第89条で規定されており,エネルギー政策の目的として連邦政府および各州がそれぞれの権限の範囲内において量的に十分で,多様化された,経済的に最適で,かつ環境に配慮したエネルギーの供給,および節約的・合理的なエネルギー消費を促進することを掲げている。
 福島第 1 原子力発電所事故後の2011年 5 月,連邦政府は「2050年エネルギー戦略」を発表し,原子力については,既設炉を段階的に閉鎖し,建て替えはしないという脱原子力政策を打ち出した。
 発電については,水力以外の再エネ発電量を,2020年までに44億 kWh(2012年20億 kWh),2035年までに114億 kWh,2050年までに242億 kWh とした。また,水力発電は2035年までに374億 kWh(2012年359億 kWh),2050年までに386億 kWh にまで増大することとした。
 原子力については,安全である限り,既設炉をできるだけ長期間運転し,これまでどおり運転期限を設けないこととした。また,再エネ電源の開発と並行して電力系統の拡充を必要とする一方,さらにエネルギー・環境税制の再編を行う方針も示した。
 1.2 エネルギー需給1)2)

ホームページ上では、「初回段落」のみを掲載しております。

     
     
ページのトップへ