井上 大榮
(一財)電力中央研究所 名誉研究アドバイザー 理学博士
はじめに
私は1969年に地質学科を卒業して,電力中央研究所に入所した。それ以来,電気事業の流れと共に約50年の間,この業界でお世話になった。電力が大量に生産,消費される時代を通り過ぎる中で,主にダム,揚水発電所,原子力発電所の調査・建設,さらには高レベル放射性廃棄物の処分研究などにかかわった。研究の対象としては,原子力発電所や廃棄物処分に関わる活断層と地震に関するいわゆる『地震地質学』である。地球科学的知識や研究をベースとして,実社会に貢献することを目標にして来た。わが国は地震国で,この50年間は歴史的に見ると多くの地震が発生するサイクルにあり,そのたびに電力構造物への対応が必要であった。ここでは,それらの地震を振り返って見ることにする。
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