会誌「電力土木」

目次へ戻る

解説

最近の技術用語(175) ESG/周波数変換所/科学的特性マップ

 

ESG
 ESG とは,環境(Environment),社会(Social),企業統治(Governance)の 3 つの視点のことを言い,その視点を考慮した投資を行うことを ESG 投資と呼ぶ。
 ESG という用語は,国連が2006年に公表した責任投資原則(PRI)に盛り込まれ,普及したとされる。これまで特定の投資家が,社会的責任投資(SRI)に基づき,環境などの視点を考慮して投資してきた歴史があるが,投資リターンを犠牲にしているという議論もあった。ところが ESG 投資では,環境や社会に配慮した方が,長期的に投資リターンの向上につながるという考え方が主流となってきており,企業側は持続可能な社会のために,ESG の課題を解決していくことが求められつつある。

参 考 文 献
国連責任投資原則,https://www.unpri.org/download?ac=6300
サステナビリティ・ESG 投資ニュースサイト,社会的責任投資(Socially Responsible Investment)
https://sustainablejapan.jp/2015/08/18/what-is-sri/18147


*     *     *     *     *     *     *


周波数変換所
 日本の電気は静岡県の富士川から新潟県の糸魚川あたりを境にして,東側は50 Hz,西側は60 Hz の 2 つの周波数に分かれています。この経緯として,電気をつくる発電機は,明治時代に輸入されましたが,関東には東京電燈という会社があり,ドイツ製の50 Hz の発電機を輸入し,また,関西では大阪電燈という会社が,アメリカ製の60 Hz の発電機を輸入し,これにより,それぞれの周波数で東日本,西日本に広まり,今日に至っています。
 2011年 3 月11日の東日本大震災では,発電所などが大きな被害を受けました。このため,関東地方,東北地方は,大変な電力不足に陥り,社会に大きな影響を与えました。このような災害時の電力不足の対策として注目を集めているのが,周波数の異なる地域からの「電力融通」です。
 震災の際にもこの電力融通の応援が行われましたが,これを行うには,周波数を変換する必要があります。また,応援できる電力にも機器の制約から上限があります。
 周波数を変換するには,たとえば,60 Hz の交流の電気をいったん直流にして,これを50 Hz の交流にしてつないでいます。日本では,長野県の新信濃変電所と静岡県の佐久間周波数変換所,東清水周波数変換所の 3 箇所で行っていて,変換能力は,計約120万キロワットです。また,新信濃変電所と飛騨変換所を飛騨信濃直流幹線で結ぶ90万キロワットの増強が行われています。

参 考 文 献
パワーアカデミー HP,https://www.power-academy.jp/electronics/familiar/fam01000.html
一般社団法人 電気学会 HP,http://www2.iee.or.jp/ver2/honbu/16-committee/epress/index11.html


*     *     *     *     *     *     *


科学的特性マップ
 原子力発電による使用済燃料の再処理に伴って発生するガラス固化体は,放射能が当初の50年で 8 割程度減衰するものの,元のウラン鉱石並みになるまでには数万年を要する。その間我々の生活環境から隔離する方法として,地下深くの地層が持つ“物質を閉じ込める性質”を利用した地層処分が最も合理的である,ということが国際的な共通認識である。
 地層処分場の建設地は,火山や活断層の影響を避けるとともに,地熱が大きいところや将来の掘削を防ぐため地下に鉱物資源が分布するところなどを避ける必要がある。
 科学的特性マップは,このような地層処分に関係する科学的特性を既存の全国データに基づき一定の要件・基準に従って客観的に整理し,「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」と「好ましくない特性があると推定される地域」の分布を全国地図の形で示すものである。
 なお,科学的特性マップは,地層処分に関する地域の科学的な特性を確定的に示すものではない。処分場建設地としての適性を確認するためには,処分地選定調査により科学的特性を詳しく調べ,評価する必要がある。

出典:原子力発電環境整備機構 HP,https://www.numo.or.jp/

     
     
ページのトップへ