会誌「電力土木」

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解説

最近の技術用語(174) AR(拡張現実)/水素基本戦略/ブリッジハンガー(移動式橋梁検査路)

 

AR(拡張現実)
 AR(拡張現実)は仮想現実(バーチャル・リアリティ=VR)の変種であり,その時周囲を取り巻く現実環境に情報を付加・削除・強調・減衰させ,文字通り人間から見た現実世界を拡張するものを指す。
 AR が可能とすることは,部分的に欠けたところを付加的に追加することによって,全体の姿を見せることである。また,物を透視して見せるようなこともできる。実物の箱の中が見えなくても,内部情報を投影して透視して中を見せることもできる。さらに,人物や,古い時代の作品を重ねて見せることもでき,時間的なものを補うこともできる。
 発電事業においての活用方法としてはスマートグラスのディスプレーに具体的な作業手順や内容を表示することで,作業精度の向上や作業時間短縮などの効率化を図ることが期待される。

参 考 文 献
・文部科学省 HP,https://www.mext.go.jp/
・総務省 ICT スキル総合習得教材

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水素基本戦略
 2017年12月に開催された「第 2 回再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議」において,「水素基本戦略」が決定された。
 水素基本戦略は,2050年を視野に将来目指すべきビジョンであると同時に,その実現に向けた2030年までの行動計画となっている。基本戦略では,目標として,従来エネルギー(ガソリンや LNG 等)と同等程度の水素コストの実現を掲げ,その実現に向け,水素の生産から利用まで,各省にまたがる政策群を共通目標の下に統合した。
 水素は炭素分を含まず,二酸化炭素を排出しないという環境特性はもちろんのこと,エネルギーキャリアとして再生可能エネルギー等を貯め,運び,利用することができる特性(貯蔵性,可搬性,柔軟性)を有する。水素技術を用いることで,例えば島国であるがゆえにこれまで利用することができなかった海外の豊富な再生可能エネルギー資源や未利用エネルギー資源,CCS 適地等を活用することが可能となる。
 基本戦略に基づき,カーボンフリーな水素を実現することで,水素を新しいエネルギーの選択肢として提示するとともに,日本の強みを活かし,日本が世界のカーボンフリー化を牽引していく。

参 考 文 献
・経済産業省 HP,https://www.meti.go.jp/press/2017/12/20171226002/20171226002.html (参照2019/12/10)

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ブリッジハンガー(移動式橋梁検査路)
 「ブリッジハンガー」とは,橋梁下面の調査・点検・補修工事の施工に用いられる移動式橋梁検査路をいう。従来の橋梁点検車を使用した施工に対し,運搬が容易で短時間に設置・撤去が可能であることから,施工性が向上するとともに通行車両の規制を必要としないメリットがある。
 ブリッジハンガー設置図を図―1に示す。
 ブリッジハンガーは,6 m 未満の狭幅員橋梁の点検調査や補修作業に最適で,吊り足場をユニット化することにより対象橋梁到着後,クレーン付トラックにて安全な橋梁検査路を短時間で架設することが可能となる。
 ブリッジハンガー設置に要する時間は15分〜30分で,設置完了後はクレーン付トラックを退出させることができ,短時間での路面開放(規制解除)が可能となる。
 また,動力源を必要とせず,本体の大型車輪及び壁面アウトリガーに設置されているガイドローラにより安定した状態で人力により移動できる。

出典:NME 研究所 HP,https://nme-labo.com/



図―1 ブリッジハンガー設置図

   
     
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