会誌「電力土木」

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新年のあいさつ

新年のご挨拶

 

新年のご挨拶


会 長  服  部  邦  男


 新年あけましておめでとうございます。
 昨年を振り返りますと,世界経済は成長が鈍化し,米中の貿易摩擦,英国の EU 離脱,米国のイラン制裁などにより先行きの不透明さが増しており,電力需要が連動する日本経済の先行きも減速感が出ております。また,昨年は節目の年であり,我が電力土木技術協会誌が400号,日本への LNG 導入が50周年を迎えました。
 土木技術者の関心が高い自然災害に目を移しますと,8 月の九州北部豪雨による洪水被害,台風15号・19号による強風被害・洪水被害・停電被害などがありました。被災者の皆さまには謹んでお見舞い申し上げます。年々自然災害ハザードが激甚化する中,自然災害による停電が社会で大きくクローズアップされております。このような状況を受けて国の電力レジリエンス WG において電力の安定供給や停電の早期復旧について検討が取りまとめられつつあり,また,洪水被害を軽減するため既設ダムのさらなる活用を検討する国の動きもあるようです。
 一方で,国により電力取引市場の整備が行われており,国では需給調整市場に加え,ベースロード電源市場の試行が昨年行われ,2024年の容量市場の創設など電力競争の大きな枠組みが整備されつつあります。
 原子力発電については,昨年は新たな再稼働は有りませんでしたが,六ケ所の原燃サイクル事業や女川 2 号の設置許可に向けて進捗しております。一昨年の東海第二に続き,福島と同型の BWR の審査が進捗しているのは業界としても喜ばしいところであります。
 今年は,電力事業は電力システム改革の最終段階である送配電の分社化を迎えて新たなスタートを切ります。電力土木技術協会は,新しい時代の到来の中で協会の変わらぬ 2 つの主要ミッションを果たしてまいります。ひとつは,協会誌「電力土木」の発行などを通じて,電力土木技術者である会員諸氏に切磋琢磨する場の提供を行います。二つ目は,電力土木技術の一般社会への紹介や国からの受託事業を通じた社会貢献活動を継続的に実施してまいります。一方,電力システム改革に伴う分社化は,従来,電力会社の中で一元化されてきた土木部門を分散させる場合もありますが,各社土木部門が横串機能や人材育成機能を残していく中で,協会として,しっかり協力してまいります。
 協会の運営につきましては,まず会員数ですが,会員各社のご協力をいただき,お陰様で,現在,個人・法人・賛助会員数は総計3500名(社)です。令和元年度の受託事業は国の人材育成プログラムを 1 件受託しております。昨年の特記事項として,60歳以上の方を対象にマスター会員制度を創設しましたところ約100名の方に賛同いただいております。
 小売りの全面自由化を受けて事業者間で激しい競争が起きておりますが,電力土木技術協会は会員各社が協調して電力土木技術者を育成しつつ,併せて社会貢献するという役割を果たしてまいります。
 本年も会員の皆さまのご活躍とご健勝を祈念して新年の挨拶とさせていただきます。
(中部電力? 常務執行役員 土木建築室長 兼 原子力本部副本部長)


新年のご挨拶


副会長  池  田  謙 太 郎


 電力土木技術協会の会員の皆様におかれましては,お健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 昨年は 5 月に皇位が継承され,「令和」が幕明けされる輝かしい一年となりました。また今夏に開催されるオリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備も最盛期を迎え,あらゆる産業界が活況を呈した一年でもありました。しかしながら 9 月以降に度々来襲した大型台風は,長期停電や河川の氾濫,建物の決壊など甚大な被害をもたらし,年を追うごとに激甚化する自然災害の脅威を痛感させられるのとともに,電力土木技術者と致しましては,日頃からの大規模自然災害を想定した事前防災のシミュレーションと復旧技術の刷新に向けて,常に弛まぬ努力をして行かなければならないと肝に銘じております。
 そのためにも,技術の伝承と若手の育成には全力で取り組んで行かなくてはなりません。当協会におきましては昨年もまた(一財)新エネルギー財団からの委託を受けて,全国各地で水力発電に係る人材育成のための研修会を開催致しました。また,若手技術者に向けた現場見学会等も開催致しましたが,出席した若手技術者たちの真摯な姿勢や電力の安定供給に向けた熱い意欲を目の当たりにして,令和の日本の電力土木技術をリードして行かなければいけない者としては胸が熱くなりましたのと同時に,多くの若手技術者がいつでも積極的にチャレンジできる環境を常に整備・維持して行かなければいけないと思っております。
 昨年同様,会員の皆様には当協会活動への変わらぬご理解とご協力を宜しくお願い致します。
 末尾となりますが,皆様の益々のご健勝とご発展をお祈り申し上げ,年頭のご挨拶とさせて頂きます。
            ((一社)日本建設業連合会 電力・エネルギー工事委員会 副委員長/
清水建設? 常務執行役員 営業総本部 土木営業本部長)



新年のごあいさつ “電力土木の海外調査団に参加して”


副会長  大  石  富  彦


 令和最初の新年をご家族の皆様と健やかにお過ごしの事と存じます。
 昨年も災害の多い年でしたね。台風15号,19号では,中越,関東,東北地方において,甚大な被害があり,防災のハード,ソフトの面での備えが大切であると痛感しました。表題の海外調査団もスイス,ドイツの水力等の視察を終え,日本に帰国する日に台風19号が来襲し,成田空港が 2 日間閉鎖。一行15名は最大 5 日間ドイツで足止めにあい,7 つの班に分かれて別々に帰国するという事態になりました。空港自体の問題よりもそこにアクセスする鉄道・道路の問題であったと聞き,日本のインフラの脆弱さが露呈した感じがします。
 さて,本題の視察については,海外の水力設備を見て,様々な気づきがありました。スイスは景観を重視する国なので,鉄管や発電所はほぼ地下に設置されています。発電所内の配管なども日本に比べスッキリ整理されています。地下発電所の屋根は帆布で造られ,軽量化とコスト削減がなされています。クレーンポストも鋼製で工期低減につながっています。100年前の水車・発電機を今も使っている発電所もありました。是非,会員の皆様も海外に出て,色んな刺激を受けて,日本の発電事業だけでなく,世界のエネルギー事業の課題解決を目指していきましょう。
 本年も会員の皆様に貢献できる電力土木技術協会をめざしていきたいと思います。
(?環境総合テクノス 代表取締役社長)



新年のご挨拶


副会長  中  村     進


 新年あけましておめでとうございます。
 今年はいよいよ記念すべき東京オリンピック,パラリンピックの年。大会の大成功を祈っております。
 振り返りますと,昨年もまた各地で大規模な自然災害が発生し,多くの電力関係施設も被害を受けました。
 私は,昨年まで11年余,香川県に住んでいました。香川県は地形上自然の脅威から比較的守られた地域で,近隣地域が暴風雨で苦労されている時でも,風雨も弱く,地震時などもむしろ後方支援としての役割を期待されるという土地柄でした。逆に,有史以来のため池に見られるような渇水の方が有名でしたが,1974年に完成した香川用水など,先人による知恵と諸対策の積み重ねにより,昨今その水事情は大幅に改善されています。
 とはいえ,あらためて昨今の我が国に襲い来る自然の脅威は凄まじく,狂暴とも感じます。後年統計的に見ても,おそらく何らかの変極点が見出だし得るのではないでしょうか。我々電力土木技術者は,そういった自然の脅威への対応策において,岐路に立っていると思います。
 Society5.0に描かれているような新しい技術などを取り入れて,各種課題に挑戦し,解決していくミッションを負っていることは言うまでもないでしょう。
 同時に,昨今の豪雨対応で考えさせられるのは,想定は必要,しかし想定を超えた場合の想定も非常に重要。ということかと思います。設備を中心に据えて防災対策で被害ゼロを目指すことも重要ですが,それに加えて,アセスメント,総合化といった対応,自助・共助が発揮されやすい環境を作って行くといった減災対策,レジリエンスを強化していくことが求められていると思います。
 電力土木技術者は,大きく変わる環境と,さらにその将来を見据えながら,何をどう変えていくべきか,今またあらためて,不易流行という言葉の含蓄,含意を穿ちながら,そして社会的な貢献という意義と使命を見据えながら,一緒に歩んでいくことが出来ればと思います。
 皆さまの益々のご活躍とご健勝を心からお祈り申し上げます。
((一財)電気工事技術講習センター 理事長)

     
     
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