会誌「電力土木」

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電力土木回想

電力土木40年の回顧

 

広瀬 忠正

高尾建設? 建設部 顧問 (元 北陸電力? 土木部 副部長)

1. はじめに
 私は北陸電力,北陸電力の関連会社である日本海発電で電力土木技術者として,約40年間勤務した。火力発電所の計画,建設に約20年,原子力発電所の計画,建設に約10年,水力発電所の建設,維持管理に約10年と多くの経験をさせてもらった。その間多くの上司や先輩の指導,同僚の支援を得て業務を遂行してきた。この度,電力土木回想〜先輩技術者からのエール〜の課題で原稿依頼を受けて,私の経験した業務の内,主として富山新港火力発電所と敦賀火力発電所の経験について述べることにします。

2. 富山新港火力発電所
 (1) 発電所概要
 富山新港は富山県北西部,射水市(当時新湊市)にあった放生津潟(ほうじょうづがた)を利用した堀込式の港湾施設として,昭和44年(1968年)に開港された。富山新港火力発電所は富山新港東側に造成された D 地区に立地している(図―1)。設備としては現在,石炭 1 号機(25万 kW,昭和46年 9 月運開),石炭 2 号機(25万 kW,昭和47年 9 月),1 号機(50万 kW,石油,昭和49年10月),2 号機(50万 kW,石油,昭和56年11月),LNG(42.47万 kW,平成30年11月)計 5 基出力192.47万 kW の設備となっている。石炭 1 号と 2 号は当初,重油専焼として建設されたが,昭和59年に石炭に燃料転換が図られた。このうち私は,石炭 1 号機からの 4 基と石炭転換までの計画,建設に直接携わった。埋立て直後の昭和44年の春に赴任した。約 1 年後に建設事務所が完成したが,それまではバラックの建物で砂塵が酷くちょっと風が吹いた翌日には机の上は砂で白くなり,地盤沈下もあり 3 か月もたつと事務所の床に高低差ができてボールが転がってしまう状態であった。以下に計画,建設にあたっての課題とその解決方法等について述べる。

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