会誌「電力土木」

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解説

最近の技術用語(170) VEI/国際リニアコライダー(ILC)/IFC5

 

VEI
 VEI(Volcanic Explosivity Index,火山爆発指数)は,Newhall and Self(1982)が提案した火山の噴火規模を示す尺度であり,火山が噴火した際の噴出量に基づき定義される。噴出量が0.00001以下から1,000 km3 以上の噴火を VEI0〜VEI8 までの 9 段階に分け,数値が 1 つ増えるごとに噴出量が10倍となる。VEI は基本的には噴出量に基づくが,十分に噴出量が把握できていない場合でも,目撃された噴煙の高さや噴火のタイプ等を参考にして与えられることもある。
 VEI7(100〜1,000 km3)以上は破局的噴火と呼ばれ,社会に大きな影響を及ぼすものの,その頻度は低く,有史以降は発生していない。屈斜路カルデラや阿蘇カルデラ等の日本に分布する大規模なカルデラは,破局的噴火により形成されたものである。破局的噴火に伴い噴出した火山灰は,瞬時に広域に広がり堆積する性質を持つため,時間指標として,地質調査や遺跡発掘調査等に活用される。

参 考 文 献
1) 町田洋・新井房夫:新編 火山灰アトラス [日本列島とその周辺],2011.
2) 下鶴大輔・荒牧重雄・井田喜明・中田節也編:火山の辞典〈第 2 版〉,2008.
3) 中田節也:火山爆発指数(VEI)から見た噴火の規則性,火山第60巻,第 2 号,pp.143-150, 2015.


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国際リニアコライダー(ILC)
 国際リニアコライダー(ILC「International Linear Collider」の頭文字)とは,国際協力によって設計開発が推進されている次世代の直線型衝突加速器である。電子とその反粒子である陽電子の素粒子を,電気や磁気の力で光速近くまで加速して超高エネルギーで正面衝突させる実験を行う。ILC によって,宇宙の始まりである「ビッグバン」から 1 兆分の 1 秒後の状態を,人為的に再現することで,未知なる素粒子を探索し宇宙誕生の謎を探求する。
 ILC による成果は,技術の産業波及,地質や環境などの調査,教育・医療・文化育成への利用など多岐に渡って還元されるため,分野の垣根を越えた一大プロジェクトであると言える。世界の素粒子物理学における“国際プロジェクト”として ILC が完成すると,世界中から多くの研究者や技術者が集い,学び,働く,国際研究都市が日本に生まれ,科学界において世界をリードすることになる。

参 考 文 献
・国際リニアコライダー計画 HP 
 http://aaa-sentan.org/ILC/
・文部科学省 HP
 http://aaa-sentan.org/ILC/


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IFC5
 IFC5 とは,土木分野(道路,橋梁,トンネル,港湾,鉄道等)を含めた 3 次元モデルデータの国際標準のこと。Industry Foundation Classes の略称。
 IFC は bSI(building SMART International:1994年に設立された CAD 会社中心の業界コンソーシアム)によって策定が進められる 3 次元モデルデータ形式のことであり,オブジェクト指向の記述仕様のことである。
 国土交通省では 3 次元データの国内データ交換について標準ファイル形式を LandXML および IFC としている。
 建築分野では2013年に建築等のデータモデル標準「IFC4」が標準化されており,2013年以降は土木分野を含めた標準フォーマット「IFC5」の検討が進められている。2020年に策定予定。
 現在,国際的な検討がなされている土木分野を含めた標準フォーマット「IFC5」の策定(2020年予定)を見据え,国内データの交換が円滑に行えるよう国内運用について引き続き整備が進められている。

     
     
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