会誌「電力土木」

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解説

最 近 の 技 術 用 語 ◯153

 

ジオパーク
 ジオパークは,地質や地形を見所とする自然の公園(大地の公園)のことをいい,ユネスコの正式なプログラムとして実施されている。貴重で美しい地質や地形を含めた自然遺産を保全すると共に,ジオツーリズムを通じて地球科学の普及や環境教育などを行い,さらにこれらの遺産を観光資源として活用して地域社会の活性化を目指す取り組みである。
 2015年 9 月現在,日本国内には39地域のジオパークがあり,そのうち 8 地域が世界ジオパークに認定されている。また,世界ジオパークは,ヨーロッパや東アジアを中心に33ヶ国120地域で認定されている。

出典)ジオパーク 日本地質学会ジオパーク支援委員会
   http://www.geosociety.jp/geopark/content0017.html
   日本ジオパークネットワーク http://www.geopark.jp/


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i-Construction
 少子高齢化に伴い生産年齢人口が毎年減少していくことが見込まれる中,生産性向上は成長のキーワードであり,建設業においても生産性の向上は急務である。i-Construction は,国土交通省が建設現場の生産性向上に向けて,測量・設計・施工・検査・維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスにおいて,ICT 技術利用を前提として導入した新たな取り組みのことである。
 i-Construction を進めるためには,従来,建設現場には適用困難だと考えられていた自動化・ロボット化などの生産性向上策を,IoT の導入や ICT 建機の利用を促進することにより実現する必要がある。国土交通省はトップランナー施策として,「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」,「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)」及び「施工時期の平準化」を進めることとしている。これらの施策の実施に際し,平成28年度から新たに15の新基準及び積算基準が導入されており,例として,「UAV を用いた公共測量マニュアル(案)」(新規),「土木工事施工管理基準」(改訂),「土木工事検査技術基準」(改訂)が上げられ,3 次元測量点群データによる出来形管理,TS や GNSS ローバーを活用した検査等の方法により生産性向上を目指すこととしている。

参 考 文 献
・国土交通省 HP http://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000028.html


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EGS
 英語の“Enhanced Geothermal Systems”の略称で,涵養地熱システム,地熱増産システムなどと訳される地熱発電技術のひとつである。
 従来の地熱発電では,地下の熱水や蒸気の溜り場(貯留層)を探し,これに坑井を掘削して自然に噴出する蒸気により発電する。しかし,場所によっては,時間の経過とともに,貯留層内の熱水や蒸気の量が不足し,蒸気生産量,発電量が低下する場合がある。
 これを改善するため,天然の地熱貯留層に人為的に水を注入する,あるいは,貯留層周辺の岩盤に人工的に亀裂を進展させて貯留層を拡大することにより,貯留層内の熱水量を増加させて蒸気生産量を安定,増加させる技術が EGS である。また,温度が高い岩盤に水圧破砕などにより人工的に貯留層を造成し,そこへ注水して蒸気や熱水を回収する高温岩体発電(Hot Dry Rock, HDR)もまた EGS に含まれる技術のひとつといえる。
 現在,国内外で技術開発,実証試験が行われており,国内では,福島県にある柳津西山地熱発電所において,JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)による EGS の実証試験が進められている。

参 考 文 献
1) 海江田秀志:地熱増産システム(EGS)技術開発の現状と課題.電力中央研究所報告 N14017. 2015.
2) 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 HP
地熱貯留層評価・管理技術
http://geothermal.jogmec.go.jp/develop/reservoir03.html


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表 日本のジオパーク

     
     
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