会誌「電力土木」

目次へ戻る

海外調査事業報告

ニュージーランドにおけるダム耐震・地熱発電・設備維持管理に関する最新動向調査

 

高橋  浩

北電総合設計(株) 土木部 調査技術室 室長

1. はじめに
 電力土木技術海外調査事業は,平成26年で第37回を迎え,今回は「ニュージーランドにおけるダム耐震・地熱発電・設備維持管理に関する最新動向調査」をテーマとして,ニュージーランドの関係機関を 8 日間にわたり訪問し,意見交換と現地視察を行った。
 参加者は水力・火力・原子力発電所の計画,設計,施工,保守管理などに携わる専門技術者のベテランから若手が集い,視察先では活発な意見交換が行われ,それぞれの知見を広げて全員が無事に帰国することができた。
 調査委員会の構成は,以下のとおりである。
 (敬称略,順不同)
 高橋  浩  北電総合設計(株)      委員長
 三好 俊康  五洋建設(株)        副委員長
 弘末 文紀  (株)安藤・間
 大葉 勝裕  (株)開発設計コンサルタント
 今村  崇  鹿島建設(株)
 石橋 正弘  清水建設(株)

 本調査の主目的は,水力発電・風力発電・地熱発電といった再生可能エネルギーの割合が発電量全体の70%を占めるニュージーランドにおいて,エネルギー比率の最も高い水力発電用ダムの耐震等に関わる技術及び開発が盛んな地熱発電について調査し,国内ならびに海外における再生可能エネルギー開発促進の一助とすることである。また,いち早く電力自由化を取り入れた電気事業者と幅広く意見交換することにより,自由化環境下での土木設備の維持管理の在り方や,電気事業の運営状況に関する知見を得ることも目的としており,予定通りの成果を収めることができた。
 調査を通じて,視察先の現地技術者が,各々の仕事に誇りを持ち,自信に満ち溢れていたこと,また,次なる再生可能エネルギーへの開発に向けた強い志を持っていることに感銘を受けた。一方,日本企業が参画するプロジェクトの視察では,現地で活躍している日本人と接し,その逞しさやコミュニケーション能力の高さも垣間見ることができ,日本の技術力を実感することができた。また,視察先での安全に対する意識の高さや,我々視察団に対する誠意ある対応には大変感動したことはもとより,我々電力土木技術者も見習うべき姿勢であると改めて認識することができた。
 日本では大震災以降,再生可能エネルギーの全量買取制度の導入とともに増加した太陽光発電,風力発電,地熱発電といった再生可能エネルギーへの注目度は衰えることなく,新たなエネルギーの開発への試みが増えていく中,海外での最新動向及び最新技術については興味深く,今後も継続的に情報収集し,電力土木技術者としての日々の研鑚に努める必要があることを感じた。
 冒頭でありますが,委員を派遣して頂いた各企業,関係各位のご対応に厚くお礼を申し上げます。

ホームページ上では、「初回段落」のみを掲載しております。

     
     
ページのトップへ