津波は,一般に,海底が急激に隆起もしくは沈降することによって海水面が変動し,大きな波となって伝播する現象をいう。津波の発生原因としては主に地震が挙げられるが,それ以外に,非地震性の陸上および海底地すべりや火山現象が挙げられ,これらによって引き起こされる津波を非地震性津波という。非地震性津波は,通常の断層運動により引き起こされる津波に比べて頻度が低いものの,中には歴史上に残る大規模な被害をもたらした津波が発生している。
・陸上および海底地すべりに起因する津波:陸上地すべりに起因する津波の事例としては,1958年にアラスカ・リツヤ湾で発生した津波が挙げられる。地震に伴う地殻変動ではなく,地震の数分後に湾内を取り囲む急勾配の斜面で斜面崩壊が発生し,海中に流入した大量の土砂により500 m を超える津波が発生した。また,1946年アラスカ・アリューシャン地震津波および1964年アラスカ地震津波は,地震の地殻変動による津波と,沿岸部あるいは海底の地すべりが同時に起きたことによる津波と考えられている。
・火山現象に起因する津波:火山噴火や地震などによって火山体が大規模に崩壊し斜面を流下する土砂崩れ(岩屑なだれ)により,1640年北海道駒ヶ岳噴火津波,1741年の渡島大島火山津波,1792年島原眉山崩壊による津波が発生した。また,1833年インドネシア・クラカタウ火山津波は火山噴火によるカルデラ陥没形成や海中爆発が原因と考えられている。
参 考 文 献
1) 気象庁ホームページ
http://www.jma.go.jp/jma/index.html
2) 首藤伸夫.津波の事典.朝倉書店,2007.11