箱根山のカンデラ芦ノ湖を水源とした早川水系早川から取水する東京電力リニューアブルパワー?「塔之沢発電所」は,神奈川県西部に位置し,稼働中の発電所としては,神奈川県最古の発電所です。明治42年(1909年)に営業運転を開始して以来,大正12年(1923年)の関東大震災により,甚大な被害を受けたこともありましたが,113年経過した今も稼働しています。
塔之沢発電所は,最大2.23 m3/s を取水し,約 3 km の水路を経て,2 台の水車発電機により最大出力3,800 kW の発電を行っています。発電所の建設当時の設備としては,わが国で初めて箱根から横浜までを国産送電鉄塔により,46,000 V 遠距離特別高圧送電を実現し,水圧鉄管下部にドイツ「フェルム」社製の鍛設管を,水車はドイツ「ファイト」社製を,発電機はアメリカ「GE」社製等,多くの外国製品を採用しています。また,トンネル掘削にはアメリカ「ウォーターレーナー」社製の掘削機を使用,鉄管の運搬には,「玉村式」ケーブルを架設するなど,当時としては,最新技術を駆使して建設されたと云われています。なお,昭和28年(1953年)に上流に川久保発電所が建設されことにより,現行の出力に変更となっています。
塔之沢発電所と関連施設(早川取水堰堤等)は,令和 3 年(2021年)に公益財団法人土木学会 選奨土木遺産に認定されました。土木遺産の認定にあたっては,「当時最新の発電設備や国産技術を多用するなど,明治期における水力発電の基礎を作り,箱根の観光を支えてきた貴重な土木遺産」として評価されました。
関連施設として認定された「早川取水堰堤」は,全面石張りの緩やかな曲線で施工されており,明治期の発電施設としては貴重であります。
また,塔之沢発電所下流約 1 km 地点には,「荻窪用水と関連施設」として,平成23年(2011年)に同じく土木遺産に認定された山崎発電所および取水堰が設置されています。
是非,箱根方面へお越しの際は,塔之沢発電所にお立ち寄り下さい。
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