【概要】
用語の定義では,「軽量性,安全性,リサイクル性などの付加価値を有する港湾・空港での新地盤材料の総称」とされる。
特に沿岸域の工事においては,沈下や側方変形,安定性,支持力が問題となる軟弱地盤が多いため,軽量性が有力な付加価値と考えられ,さまざまな地盤材料の研究がなされてきた。各機関・企業によりさまざまな地盤材料が開発されているが,1例として港湾技術研究所(現 港湾空港技術研究所),(財)沿岸開発技術研究センターおよび民間23社により共同研究された「軽量混合処理土工法」が挙げられる。この工法の特長は以下のとおりである。
(1)通常の砂と比べて,重量が空気中で約1/2,海水中では約1/5と軽量である。
(2)水中で施工できる。
(3)短期間に大量かつ経済的に施工できる。
(4)地震力や波浪,圧密沈下など沿岸域の厳しい外力に対応できる。
また,この「軽量混合処理土」は使用する軽量化材(気泡,発泡ビーズなど)により次の2種類に区分される。
(1) 気泡混合処理土
スラリー状の土砂に気泡と固化材とを混合した地盤材料。
(2) 発泡ビーズ混合処理土
スラリー状の土砂に直径1〜3mmの発泡スチロール粒と固化材とを混合した地盤材料。
いずれも,使用する軽量化材や固化材(セメント系材料など)の量を変えることにより,目的に応じた単位体積重量や強度を調整することが可能である。
【利用用途と効果】
スーパージオマテリアルは,その軽量性により沈下の低減,側方変位の抑制,施工性の向上などの効果を期待した利用形態が考えられる。
【開発の経緯と今後】
港湾分野における軽量材料の利用に関する研究は1960年代から行われており,1971年には「擁壁構造物に対する土圧低減工法」(軽量ブロックを岸壁などの裏込めに用いて土圧を低減するもの。港湾技術研究所)が開発されたが,コスト面,水中施工・大量急速施工が困難,地震時土圧の評価法が未確立 などの理由により普及しなかった。
しかしながら,港湾および空港事業においては軽量性の地盤材料に対するニーズが大きいこと,また1990年頃からは建設副産物の処分が大きな社会問題として取り上げられるようになったこと,という状況を受けて,浚渫土砂や建設残土などを活用した新たな軽量地盤材料の開発がなされている。
現在は,浚渫土や建設残土だけでなく無機性廃棄物(石炭灰,コンクリート廃材など)について原料土としての活用が試みられている。
参 考 文 献
1)(社)日本港湾協会.港湾の施設の技術上の基準・同解説.1999.4.
2)(財)沿岸開発技術研究センター.港湾・空港における軽量混合処理土工法技術マニュアル.1999.4.