再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度(FIT)

 FIT とは,Feed in Tariff を略したもので,「〜を与える,入れる」と言う意味の Feed in と「関税,関税率,料金表」と言う意味の Tariff という言葉からなる。再生可能エネルギーを導入した際のコスト負担を買取価格に「入れ込んだ料金体系」と言うことで,全量固定価格買取制度と訳される。
 本制度は,電力会社に対し,太陽光,風力,水力,地熱,バイオマス等の再生可能エネルギー発電事業者から,政府が定めた調達価格・調達期間による電気の供給契約の申し込みがあった場合には,応ずるよう義務づけている(図―1参照)。政府による調達価格・調達期間の決定方法,買取義務の対象となる設備の認定,買取費用に関する賦課金の徴収・調整,電力会社による契約・接続拒否事由などを併せて規定している。電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の成立により,2012年 7 月 1 日より施行された。
 調達価格・調達期間は,農林水産大臣,国土交通省大臣または環境大臣に協議し,消費者問題担当大臣の意見を聴き,経済産業大臣が毎年度,再生可能エネルギー発電設備の区分,設置の形態,規模ごとに,当該年度の開始前に定める。調達価格は,法律上,再生可能エネルギーの導入目標や導入見込量に基づいて定めることはなく,一旦適用されると原則,調達期間内では変更されない。また,調達期間は,特定契約に基づく電気の供給が開始された時から起算される。2012年度の調達価格・調達期間は,表―1のとおりである。
 本制度によって買い取られた再生可能エネルギー源による電気は,すべての電気の利用者を対象に,使用量に応じて電気料金の一部として再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金;サーチャージとも呼ばれる)をお支払い頂いている。一般家庭の場合は2012年 8 月分の電気料金より再エネ賦課金の負担が始まっており,単価は,どの電気事業者と契約しているか,どの地域に住んでいるかに関わらず,全国一律(2012年度は0.22円/kWh)である。
 2012年度において,4〜9 月末までに約91万 kW の再生可能エネルギーが導入され,そのうち,9 割以上が太陽光となっている。また,制度施行以後,経済産業大臣による設備認定を受けた新規設備は,9 月末時点で約178万 kW と順調に拡大している。

参 考 文 献

1) 経済産業省 資源エネルギー庁 ホームページ
   http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html



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