カーボンニュートラル(Carbon Neutral)

  カーボンニュートラルは,直訳すれば,「炭素中立」で, 人間の生活や経済活動などにより排出される二酸化炭素などの温室効果ガスの量と吸収される温室効果ガスの量が同じであるという概念である。環境省から2008年2月に出された「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」においては,「市民の日常生活,企業の事業活動といった排出活動からの温室効果ガスの排出量と,当該市民,企業等が他の場所で実現した排出削減・吸収量がイコールである状態のことをカーボンニュートラル(炭素中立)という」と具体的に定義されており,また,これに関連して「カーボンオフセットは,市民の日常生活や企業の事業活動におけるカーボンニュートラルを実現するための手段であり,排出量を全量オフセットされた状態がカーボンニュートラルとなる」と解説している1)。
  カーボンニュートラルの代表的な例としてバイオマスが挙げられる。バイオマスは,化石資源を除く生物体を原料としたエネルギー資源の総称であり,生物がその成長過程で大気中から吸収した二酸化炭素を用いて生成した有機物である。そのバイオマスを燃焼することなどにより,二酸化炭素は大気中に放出されるが,バイオマスのライフサイクルの中では大気中の二酸化炭素の量を相対的に増加させない。このため,バイオマスを使用しても全体としてみれば大気中の二酸化炭素即ち炭素の量を変化させていないと考えられ,カーボンニュートラルである。
  カーボンニュートラルに関連して,排出される二酸化炭素などの温室効果ガスの量よりも,吸収される温室効果ガスの量が上回っている状態をカーボンマイナス(Carbon Minus)という。

参 考 文 献

1) 環境省.我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針).2008.2.
   http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline.html

2) 地球環境研究会編.[五訂]地球環境キーワード事典. 中央法規出版.2008.3.
   



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