ハリケーン・スケール

  北大西洋で発生する熱帯低気圧のうち,中心付近の最大風速が33メートル以上のものをハリケーンと呼んでいる。ハリケーンの強さは,上陸時に沿岸部で予想される風と高潮の被害から5段階に分類されている。これを「サファ・シンプソンのハリケーン・スケール」という。

  このスケールは,土木技術者のハーバート・サファと米国ハリケーンセンター長官だったボブ・シンプソンにより1969年に考案された。当時,サイクロンの現象規模を表す尺度がなかったことから考案されたこのスケールは,まずサファによって構造物への影響をみるために,風速を基準にした5つの等級に分けられた。これにシンプソンが高潮や洪水の影響を加えたもので,ハリケーンが起こす影響を示す尺度して現在も使用されている( 表−1 )。なお,このスケールは,大西洋と日付変更線より東の太平洋で発生するハリケーンのみにつけられる。台風やサイクロンといった名前をつけられる他の地域の熱帯気圧では,それぞれの等級がつけられている。

  赤道以北,日付変更線以西で発生した熱帯低気圧のうち最大風速が17.2メートル(34ノット)以上のものを台風と呼んでいるが,これらの最も大きなものは「超大型で猛烈な台風」と分類されている。「超大型」とは風速15m/s以上の半径が800km以上の台風につけられ,「猛烈な」とは10分間平均風速の最大値が58m/s以上のものにつけられる。サファ・シンプソン・スケールで用いられている風速は1分間平均値であり,これは10分間平均風速よりも1.2〜1.3倍ほど大きく出る傾向にある。このため猛烈な台風とサファ・シンプソンのカテゴリー5と分類されたサイクロンとは,ほぼ同じ規模の熱帯低気圧といえる。

  2005年8月末にアメリカ合衆国南東部を襲ったハリケーン・カトリーナは最盛期カテゴリー5に分類された。最大風速は78m/s(1分間平均),最低中心気圧は902hPa。これと同等の台風は,1961年9月に発生した第二室戸台風(第18号)で,最低中心気圧900hPa未満,最大風速66.7m/s(10分間平均),瞬間最大風速は84.5m/s以上と記録されている。

参 考 文 献



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