アウターライズ地震

アウターライズ(海溝外縁隆起帯)とは,海溝軸の海寄りにかけて存在する,海洋プレートが地形的に隆起した領域である(図−1参照)。


海洋プレートの沈み込み帯付近で発生する浅い海洋プレートの地震は,大別して,
  (1)プレート境界で発生する低角逆断層型地震,
  (2)アウターライズの浅い部分で発生する正断層型地震,
  (3)アウターライズの深い部分で発生する逆断層型地震,
  (4)その他のプレート内部で発生する地震,が挙げられる。
 このうち,アウターライズで発生する(2)および(3)がアウターライズ地震と呼ばれるものである。

  海洋プレートが陸側プレートに沈み込みを開始するアウターライズ付近ではプレートが下向きに曲げられるため,プレートの浅い部分では伸張応力が,深い部分では圧縮応力が作用する。このため,アウターライズ地震のメカニズムは震源が浅い場合には正断層型の,深い場合には逆断層型の地震となる。
  過去に発生した代表的なアウターライズ地震としては正断層型の昭和三陸沖地震(1933)や逆断層型の紀伊半島南東沖地震(2004)が挙げられる。
  このうち,最近発生した紀伊半島南東沖地震の発生領域は,プレート厚さが25km程度であるに対して,断層面は10〜25km程度とプレート厚さの下側となっていたことから逆断層型の地震であった。
  アウターライズ地震は発生することが比較的まれであると考えられているが,その頻度や沈み込み帯のどこでも同じ頻度で発生するのかどうかなど現在でも不明な点は多い。


【図−1】 アウターライズの概念図

参 考 文 献

1)瀬野徹三.プレートテクトニクスの基礎.朝倉書店,1995.2.
   

2)東京大学地震研究所ホームページ
   http://www.eri.u-tokyo.ac.jp



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