オートクレーブ養生(高温高圧蒸気養生)

 JIS A 0203(コンクリート用語)によると,「高温・高圧の蒸気がま(オートクレーブ)の中で,常圧より高い圧力下で高温の水蒸気を用いて行う蒸気養生をオートクレーブ養生(高温高圧蒸気養生)」と定義している。
 コンクリート工場製品では規格化されたコンクリート製品を大量に作ろうとするものであり,オートクレーブ養生は製品の早期出荷を可能にするための促進養生として使用されている。方法としては,コンクリート製品を脱型した後に鋼製大型の円筒状圧力容器に収納して,高温・高圧の飽和蒸気を通すことによって養生する。この時,脱型した後にオートクレーブ養生を行うとしているが,コンクリート製品のコストに大きな影響を及ぼすのが型枠の費用であり,型枠ごとオートクレーブ養生を行うと型枠の損傷が激しくなるため,脱型後としている。なお,型枠の回転率を早めるために通常は型枠の損傷の少ない常圧蒸気養生を行っている。
 コンクリート製品のオートクレーブ養生は,珪酸質微粉末を混和して製造されたコンクリートを一定の温度勾配で昇温し,180〜190℃,10〜11気圧程度の等温等圧条件を所定時間(3〜5時間程度)だけ保持して養生することにより,常温ではまったく不活性なシリカでもカルシウムと化合し強固な珪酸カルシウム水和物(トベルモライト)という強度の高い安定した化学反応物を生成するので,コンクリート製造の翌日には28日強度程度を得ることができる。また,オートクレーブ養生したコンクリートでは非常に高強度が得られ,設計基準強度70〜90N/mm2のレベルのものもあり,高強度PC杭はその代表例である。

参 考 文 献

1)日本コンクリート工学協会.コンクリート技術の要点.1999.
   

2)日本規格協会.コンクリート用語JIS0203.1999.
   



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