朝野 賢司
(一財)電力中央研究所 社会経済研究所 上席研究員
1. はじめに
本稿は,2012年 7 月から実施されている固定価格買取制度(Feed-in Tariff;以下,FIT)と,2017年 4 月に実施された FIT 改正を経て,2022年度から導入が予定される Feed in Premium(以下,FIP)制度の設計という,FIT 実施 9 年間における成果と課題,そして課題解決のために議論された制度改正の方向性について論ずる。
本稿で特に着目するのは,FIT 運用において,いかに「導入と費用負担」のバランスをとるための試行錯誤がなされてきたのか,という点である。これまで筆者は参考文献 1 と 2 において,こうした観点から考察をとりまとめてきた。
本稿では,第 1 章において FIT 法制定に向けた国会等での議論と合意された法律について述べる。続く第 2 章では,実際の運用に向けた調達価格等算定委員会による買取価格の設定,第 3 章では極端に太陽光発電(PV)導入に集中した施行後の実情,第 4 章において法改正の内容と入札の実態,第 5 章では FIT の改良版である FIP の概要と残された課題について述べる。
ホームページ上では、「初回段落」のみを掲載しております。