会誌「電力土木」

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報告 研究

貯水池下流河川の水質分析で検出されるアルミニウムの起源に関する一考察

 

芳賀 馨

電源開発? 技術開発部 茅ヶ崎研究所

西澤 成晶

?J-POWER 設計コンサルタント 土木事業本部 水力・河川部 次長

喜多村雄一

電源開発? 技術開発部 茅ヶ崎研究所 特任研究員 博士(工学)

 本州中央部 A 川の流域では,2000年代からアユの漁獲量が大きく減少している。河川水の水質分析を行ったところ,魚類に対する毒性が強いアルミニウムが高濃度で検出された。しかしながらアルミニウムの濃度と濁度の相関分析,濁水をろ過後に行ったアルミニウムの濃度分析,濁水粒子の X 線回折分析の結果から,A 川の河川水から検出されるアルミニウムは,濁水粒子に含まれる粘土鉱物の主要部分を占める緑泥石と雲母鉱物が,広く用いられている水質分析方法である JIS K 0102の過程で添加される酸に溶解して生成した人為的なものであると考えられた。これらの粘土鉱物は,通常の河川流域で想定される,酸性雨の影響を受けた土壌水や貯水池底層の貧酸素環境の水素イオン濃度では溶解しないと考えられることから,アルミニウムは A 川において魚類に悪影響を及ぼしていないことが示唆された。

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